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大好きです
あなたの事が大好きなんです。
もう、ずっとずっと。
心の中でこんなふうに思い始めて、もう3年が経ちました。
ふと見かけたときからもう、私の心の中はあなたでいっぱいになりました。
毎日会社に行くのも嫌ではなくなりました。
以前は毎日気が重かったのに。
あなたのおかげで毎日が明るくなりました。
*******
初めて見たときよりは3年経った今、あなたは少しずつ色が褪せてきてしまったけれど、それでも私があなたの事を大好きな事実には変わりはないのです。
だから今日こそ、告白させてください。
あなたと一緒に暮らしたいのです。
あなたが撤収されてしまうと決まった今日。
私はあなたを家にこっそり連れ帰ることにしました。
だって、あなたの行くところを聞いたら焼却場だって言うんですもの。
長年勤めている会社なので、あなたの事を誰も見ていない時間がある事を私は知っています。
さぁ、あなた、一緒に私のお家に帰りましょう。
会社のマスコットとして3年間会社の廊下に飾られていたあなた。
これでやっと一緒に暮らせますね。
これからは毎日お家であなたと一緒。
まずは3年間の毛皮の汚れを落としてあげますね。
廊下の片隅、テーブルの上に飾られたあなたの事。
きっといなくなっても既に誰かが焼却処分したと思ってくれますよね。
大丈夫。私のお部屋はあなたの仲間でいっぱいなのですよ。友達にはうさぎ小屋。って呼ばれるほどにうさぎがつまっているのです。
私はうさぎが大好き。ぬいぐるみも着ぐるみも、そして生きているうさぎも、私の部屋にはたくさんのあなたのお友達がいるのです。
今は、ちょっと増えすぎて足の踏み場もないほどのうさぎがいますけれど、心配しないで。あなたの事は踏まないようにしますから。
ちょっとうさぎの地層ができている場所もありますけれど、心配しないで。
あなたのいる場所位、すぐに作れますからね。
では、今日の私の退勤の時にまたお会いしましょうね。
私の会社のマスコット。ラビ君へ。
【了】
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