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27 そよ風の君と歩く未来[side 柊]
……翔太君と結婚してから、本当に色んなことがあったな。楽しかったことも、嬉しかったことも……あ、すれ違っちゃったこともあったっけ。
でも、その思い出も、今となっては愛おしいんだ。翔太君と過ごした、この3年間は……本当に幸せな時間だったから。
その幸せを噛み締めながら……私は、病室から窓の外を眺めていた。町が桜色に染まっていて、本当に綺麗だ。
ふふっ、早くこの子達にも見せてあげたいなぁ。
「……柊」
病室のドアが開いて、翔太君が入ってきた。その表情は、今日も少し心配そう。そんなに不安がらなくてもいいのにね。
「体調とか、大丈夫か?お腹、痛かったりしないか……?」
「まだ大丈夫だよ。……ふふっ、気が早いなぁ。予定日はまだ先でしょ?」
「……でも、心配なんだから仕方ないだろ。だって……子どもが産まれるの、初めてだし、1人じゃないし…………」
「もう、だから大丈夫だって。パパがそんなに心配してたら、子ども達に笑われちゃうよ」
私がそう言って微笑むと、翔太君は釈然としない顔をしたけど……やがて、ため息をついて笑ってくれた。
「……そうかもな」
「そうそう!……それより、私、この子の名前考えたんだ。聞いてくれる?」
「あぁ……教えてくれ」
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