6人が本棚に入れています
本棚に追加
「な、なに…?」
急に距離を縮められ、不覚にもドキッとしてしまった。
「先輩が動揺した顔、超そそる」
そう言ったかと思うと、私の頬に手を添える柚季くん。
触られた瞬間、びっくりして少し肩が揺れる。
…なに?どうしたの?
そんなこと思っても、なぜか声が出せなかった。
柚季くんが作り出す空気感にのみ込まれそう。
何もできない私を見て柚季くんは、口角を上げて笑った。
あのかわいい柚季くんがやけに色っぽく見えて、私の頭はどうかしちゃったのかな。
柚季くんから目が離せない。
すると次第に柚季くんの手が私の唇に近づいてきて、親指でそっと唇をなぞる。
全身がゾワッとした。
なにこれ。
私、こんな柚季くん知らない…。
「先輩が悪いんですよ」
柚季くんはそう言って、ゆっくり距離を詰めてくる。
見たことがない柚季くんの表情に心臓がうるさく鳴り響く。
「このままだとキス、しちゃいますけど?」
と、あと数センチで唇と唇が触れそうなときに柚季くんは言った。
「…ダメ」
「じゃあ抵抗してみてよ」
腕に力を入れてみても、柚季くんの手の力には逆らえない。
もう片方の手で、柚季くんを拒もうとしても、その手はあっけなく柚季くんのもう一つの手に捕まった。
「先輩って本当、かわいいですね」
かわいい柚季くんから、かわいいと言われる日が来るなんて。
そんなことを考えている隙に、私の唇に柚季くんの唇が触れた。
最初のコメントを投稿しよう!