【短編】柚季くんのギャップについていけない。

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「な、なに…?」 急に距離を縮められ、不覚にもドキッとしてしまった。 「先輩が動揺した顔、超そそる」 そう言ったかと思うと、私の頬に手を添える柚季くん。 触られた瞬間、びっくりして少し肩が揺れる。 …なに?どうしたの? そんなこと思っても、なぜか声が出せなかった。 柚季くんが作り出す空気感にのみ込まれそう。 何もできない私を見て柚季くんは、口角を上げて笑った。 あのかわいい柚季くんがやけに色っぽく見えて、私の頭はどうかしちゃったのかな。 柚季くんから目が離せない。 すると次第に柚季くんの手が私の唇に近づいてきて、親指でそっと唇をなぞる。 全身がゾワッとした。 なにこれ。 私、こんな柚季くん知らない…。 「先輩が悪いんですよ」 柚季くんはそう言って、ゆっくり距離を詰めてくる。 見たことがない柚季くんの表情に心臓がうるさく鳴り響く。 「このままだとキス、しちゃいますけど?」 と、あと数センチで唇と唇が触れそうなときに柚季くんは言った。 「…ダメ」 「じゃあ抵抗してみてよ」 腕に力を入れてみても、柚季くんの手の力には逆らえない。 もう片方の手で、柚季くんを拒もうとしても、その手はあっけなく柚季くんのもう一つの手に捕まった。 「先輩って本当、かわいいですね」 かわいい柚季くんから、かわいいと言われる日が来るなんて。 そんなことを考えている隙に、私の唇に柚季くんの唇が触れた。
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