200スター記念

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200スター記念

200スターありがとうございます 拙作ながら色んな方に読んでもらえて嬉しい限りです 記念とはいってはなんですが、少し閑話を設けました お時間がある時に気軽に読んでみてください 1.シキの好きな物 「シキって特別好きなものとかあるの?」 そう聞かれてシキは斜め上を見上げた。食べ物はだいたい好きだし、特別好きってもはないかな…そう思って考えて、ぽん、と手を叩いた。 「ホラーが好き!」 「ホラー…?」 「うん!エイリアンとか、幽霊とか、ゾンビとか!」 怖いもの見たさというもので、シキはよくテレビでホラー番組やUMA特集などを見たりする。文字は読めないから本は読んだりしないが、テレビは声だけでも楽しめる。 「なんか意外。シキはそういうの怖がるほうだと思ってた」 「おれ、怖いの全然平気!」 嘘だ。本当はそういうのを見た夜は怖くなってトイレにだって行けない。でもどうしても見ちゃう。腰に手を当てて胸を張ると、優一郎が謎ににやにやしながらこっちを向いた。 「じゃあシキ、知ってる?この辺りの怖い話」 「……えっ、この辺り?」 「そう、夜な夜な真っ赤な服を着た女の人が歩き回ってるらしいよ。そして人を見掛けると『ねえ、私の目、知らない?』って話しかけてきて…その女の人の顔を見ると、目がぽっかり空いてて――」 「やだああああ聞きたくない!!!」 ばっと耳を塞いでシキは廊下の奥に引っ込んだ。時刻は夕暮れ、もうすぐ優一郎は帰る時間。なんて、なんて意地悪なんだ。この辺りってことはシキのとこに来る可能性だってあるのに。 「あれ、怖いの全然平気じゃなかったの?」 「平気だもん!トイレ行けなくなるけど!」 「それって、平気って言わないんじゃ…」 ぶんぶん、と首を振り続けるシキに優一郎は笑いながらいまの作り話だから戻っておいで、と自分の隣を叩いた。なんだ嘘だったんだ!とシキはちょっと不貞腐れながら優一郎の隣に戻った。 その後、度々赤い服を着た女が夜な夜な歩き回る姿が目撃されることがあったとかなかったとか。 2.森 日向の話 絶賛、逃亡中。 「あ、あ、あんな、イケメンだなんて聞いてない」 事の発端はそう、学校で行った校外学習のプラネタリウム。星なんてそんなに興味なかったのに、いざ見てみるとあまりの綺麗さに寝てる人を叩き起したくなるほど感動した。終わってもまだ呆然と天井を見上げていた僕を世界に呼び戻したのは、星座の案内をしていた男性だった。声が同じだったからすぐ気づいた。辺りを見回せばほとんどの生徒がプラネタリウムから出てしまっている。慌ててすみませんと言って出ようとしたら、手を掴まれた。振り返ると男の人が僕の腕を掴んでいて、え、なに、なんで?と思わず首を傾げた。その時言われた言葉をは未だに忘れられない。 ――星みたいで、好きになった。付き合って欲しい。 意味わからん。星みたい、って何。どこをどう好きになる要素あった?容姿、だろうか。確かに金髪は星のようだろうけど…別に自分の見た目が好きじゃないから嬉しくなかった。とりあえず何故か()連絡先を交換して、バスに戻ったらすぐに連絡が来た。会いたい、と。 そうして数日後、何故か()会うことになってしまった僕は駅で服装と合致するあの時の人を見かけて死にそうになってしまった。あの時は暗がりだし髪が伸びていて正直あんまりイケメンだとは思わなかった(多少は思ったけど)。でも今日見たら、服はバッチリ決めていて髪もスッキリ切りそろえていて、メガネもかけていて…。その人が僕の方を向いた瞬間僕は逃げ出した。 だって、あんなにイケメンだなんて聞いてない。僕も見た瞬間好きになったとか、言いたくない。 3.先生の話 ある子供を年に数回診て欲しいと、佐野家から連絡が入った時は本当に驚いた。その時自分はまだまだ若手の医者で、誰かの命を救うという行為にまだ戸惑っていた時期だった。そんな自分でいいのかと再三聞いたのを昨日の事のように思い出す。名目は佐野家の専属医、実際はとある子供の担当医。母親が亡くなったというその子はアルビノで、見た目も中身も真っ白だった。何も、ない、知らない。ああきっと、この子は外に出したら死んでしまうんだろうな。すぐにそう思った。それから俺はシキの母親がしたように外に出ないこと、約束を守ることを徹底させた。シキはそれしか知らないか素直に頷く。けれど最近、本当にこれでいいのか分からなくなってきた。シキはずっとこのまま外に出ず、一生を佐野家の裏庭で過ごすんだろうか。何も知らず、何も分からず、誰とも関わらず。それがどれだけ惨たらしいものか、シキは分からないだろう。そして罪悪感に駆られた俺は、今までで1番最悪な言葉を言ってしまった。 母親との思い出が詰まったあれを、シキから奪うなんて…そんなこと、絶対にあってはならないのに。 ――シキ、君はピアノを辞めるべきだ 以上が閑話となります これからも頑張りますので、よろしくお願いします
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