眠れないときには

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 私は寝付きの悪い子どもだった。  そして、今。 「あ゛ーーーーーーーーー!」  もうすぐ一歳になる息子がお昼寝前にぐずって大泣きしている。  私に似て、ただでは寝てくれない子なのだ。 「よしよし」  あやしてもなかなか泣き止んでくれない。夜も同様で困り果てている。  お陰で私は寝不足だ。 「大丈夫?」  居間にいた夫も息子の声を聞きつけてやってきた。 「今日は俺が寝かしつけしとくからさ。向こうで休んできなよ。俺が休みの時くらいゆっくりしてて」 「ありがとう。助かる」  私はふらふらとベビーベッドから離れて、夫にバトンタッチする。 「お~、よしよし。眠れないのか~」  夫の優しげな声に親の私が眠くなる。  どうして、息子はこれで眠ってくれないのか。  居間に入ると急に疲れが来て、ソファに倒れ込むように座った。 「あ、いい天気」  息子が泣いていても、私がボロヨレでも空は青かった。  ふわふわとカーテンが揺れている。  ふわりふわり。  そのリズムだけで眠気がやってくる。  隣の部屋からは、息子の泣く声が聞こえてきて気になってしまうけれど。 「ダメだダメだ」  私は自分に言い聞かせる。  せっかく夫が気を利かせてくれたんだ。ここで休まないと。  けど、この感じ。  思い出してしまう。  保育園のお昼寝タイム。  私は眠れなくて、布団の中からぼんやりと空を見ていたっけ。  眠れない誰かの泣き声が聞こえていた。  いつかそれも静かになって。  あの時もふわふわとカーテンだけが揺れていた。  周りでみんなが寝ているのに、私は一人だけ取り残されたみたいに不安になった。  だけど、そんなときいつも隣にいてくれた子がいた。
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