3章 恋心

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「あの……っ」 要の胸に押し付けられるように、強く、強く抱きしめられた。息が詰まるように苦しい、そんな力強さ。 「要、さん……」 伽耶が耳元で名前を呼ぶと、要は肩に頭を乗せてくる。抱きしめる力は少し弱まり、息苦しさがなくなった。 「……悪い、しばらくこのままでいさせてくれ」 伽耶の耳元に聞こえてきた要の声は、普段の彼に似つかわしくない、弱々しい声だった。 伽耶は恐る恐る要の背中に腕を回す。その温もりを抱きしめて、彼がここにいることを感じたかった。 「……いいですよ」 その気持ちが伝わるように、ゆっくりと言葉を紡ぐ。 「要さんの気の済むまで、このままで」 伽耶はそう言って体を離し、要の瞳を見つめた。澄んだ綺麗な瞳の中に、自分の顔が映っているのが見える。 「……伽耶」 要の低い声が、すぐ近くで聞こえた。熱っぽいその瞳が伽耶を捉えると、後頭部を引き寄せられて、唇が重なる。 「ん……っ」 最初は触れるだけのキス。初めてのことに、伽耶はただされるがまま。次第に深くなってくるそれに、息苦しさを覚えながら。でも、要の気持ちを受け止めようと必死に応えた。
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