3章 恋心

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「ニューヨークに行くってホントなの?」 場所を移した二人は、グランドがよく見える空き教室にいた。グランドでは明日がテストにも関わらず、男子生徒が数名サッカーをして遊んでいる。 「……うん。西園寺くんがグループの本社で経営の勉強もし始めるから、私もそれについていくことになったの」 「……そっか」 窓の外を眺めていた夏希が、振り返って伽耶を見る。伽耶は手にグッと力をこめると、息を吸って夏希としっかりと目を合わす。 「……私、理由はどうであれ夏希ちゃんの友達にひどい事したと思ってる」 真っ直ぐ伽耶を見つめたまま、夏希は静かに話を聞いていた。真剣な眼差し。そこにどんな感情を抱えているのかは、伽耶には分からなかった。 「……許さない、ってそう思われても仕方ないわ」 伽耶がそう言うと、夏希は首を小さく左右に振った。 「ううん、伽耶は悪くない……。だって、会長みたいな家柄だとそういう話があってもおかしくないもん」 夏希はそう言うと、両手をギュッと握り締めて俯いた。陰が落ちた横顔。 「……私、会長が好きだったの」 胸が大きく跳ねる。突然知らされた事実に、伽耶の頭がよく働かなかった。 (夏希ちゃんが、要さんを……) 「それって……」 「未央が会長と付き合う前から、ずっと……会長のことが好きだった」 顔を上げた夏希は、少し困ったような顔をして伽耶を見ていた。
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