いじめ

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いじめ

 そしてある日、私が趣味で描いて来た絵を載せていたSNSが、そのいじめグループのうちの一人に見つかってしまう。  さんざんからかわれて、どんなに褒められていた絵でさえも、おまえみたいなのが描いてるだなんて知ったら、みんな見もしなくなる、そんな風に言われた。  そのSNSのアカウントを削除して、帰路についた日だった。  私は、背中を誰かに押されて、階段から突き落とされた。  そんなの、相手はきっといじめグループのやつだと思ってたんだ。  そうしたらね、違っていたの。  『あなたの絵を見て、毎日頑張って来たのに。消してしまうなんて、あんまりだよ』  脚を挫いた痛み、突き落とされたことへのショック、それから、衝動的にアカウントを消してしまった自分への後悔、三つが重なって頭がパニック状態だった私に、振り向くことが出来なくなるような声が降って来た。  だってその声は、私がいじめグループの標的になる以前に、いじめられていた同じクラスの女子のものだったから。  標的が私にうつってすぐ、彼女は見た目を派手にして、いじめられないように強くなったように見えた。  負けないで、と、私に、一度ブレスレットをくれたことがあったのを覚えてる。  すごく嬉しくて、その時だって私は腕につけていたんだよ。  負けるもんかって思ったのに、衝動性には勝てなくて、結局私はなんだか大きな罪を犯してしまったような気がした。  自分で自分に自信が持てた場所を、自分から消して。  その上、誰かの勇気まで踏みにじってしまったんだ。  こんな私の絵を、待ってくれていた人の、心を汚してしまった。
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