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どうか、お願いだから書くのはやめないで。
私のように、一緒に歩んでいる人がいるかもしれない。
戸田くんの物語が、手を引いてくれているようで、心強かった。
こんな風に、誰かの背中を押してくれているって、知って欲しかった。
知らない人のふりして、コメントで応援すれば良かったのかもしれないけど、私は戸田くんの彼女だから。
今日からは、セシルに頑張れって言うんじゃなくって、戸田くんに頑張れって言うよ。
液晶画面ごしじゃなくって、こうして肌と肌で触れて、肉声を使って、大変な時は休んでって言うよ。
そんな存在になりたいって思ったから、打ち明けたの。
「…ずっと、二人で歩いてたんだね」
「うん、私の中では、そうだったの。戸田くんは、知らなかったと思うけど、だけど、ずっと一人じゃなかったって。…今、思ってもらえるなら、嬉しいな」
「…ありがとう、香歩」
いい雰囲気だったのは一瞬で、首に回そうと伸ばした両腕の中で戸田くんはスクっと立ち上がった。
多分、机の上のパソコンに向かう為に、移動するのだと思う。
「ふふ。戸田くんの、そー言うとこ、好き」
「え!」
「今、するのかと思った」
「あ、ごめ、」
「ごめんじゃないし、悪くないし、大好き!」
私よりも、小説を選んでしまう戸田くんでいて欲しい。
自分の大切なものを、私のせいで諦めないで。
ずっとずっと、やめなくっていい。
だって、私を救ってくれたのは、元気にしてくれたのは、戸田くんの物語なんだから。
いつになったって忘れないし、ずっと大切だし、戸田くんを好きなくらい好きでいるよ。
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