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苦しい話
記憶の回想を辿って、やっと今の状況を理解すると、私は立ち上がろうとする。
だけど、ぐらりと視界が歪んで、へたへたと上半身が横の肘置きに崩れて行く。
「ワタシの独り言を聞き流して、その間休むといい」
「...す、すみません。あの、私、は」
「末の娘が、今年、30になるんだ。彼女は、軽度の知的障害を持つASDなんだよ」
「...は、い」
「昔は、発達障害に世間も疎くてね。もちろん、ワタシもだ。彼女は、癇癪のひどい、物分りの悪い子供だと言われたし、ワタシもそうなんだと思って、必死で厳しく躾をしたよ」
あ、先生、悲しそうだ。
つらいことを思い出して、胸を痛めてる。
きっと、話したくないはずだよね。
でも、膝で握られた拳は、意志を決めてるみたいに見える。
私は、ただ黙って校長先生の次の言葉を待つことしか出来なかった。
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