エーデルワイス

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エーデルワイス

 机に広げたノートに、真剣にビーズアクセサリーの新しいデザインを考え、色付きのペンで絵を描いていた。  私は筆入れを二つ持っていて、一つは鉛筆と赤青ペンと消しゴムの入っている学生用のもの、もう一つのちょっと大きめのピンクの方には32色の細い水性マジックが詰まっている。  集中していて一度も授業を聞いているふりをしていなかったことに気づき、ハッとして顔を上げると、英語を担当している教師はとくに私のことを見てもいない。  もう、諦められてしまっているのかもしれないな、と思い、再びノートに視線を落とすと、教室にエーデルワイスが流れる。  エーデルワイス、って、そう。  あの、歌のやつ。  メロディラインが単音で、ピアノの音。  ノートや教科書、バラバラと散らばっているペンたちを筆入れにしまって、机の引き出しの中に突っ込むと、今日もこりもせずに、私は隣のクラスの戸田くんのところへ向かう。  この高校は、4時限目の終わりを知らせるチャイムだけは、キーンコーンカーンコーンではないのだ。
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