戸田雪夫

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戸田雪夫

 更新されていた分をそわそわとしながらも全て読み終えると、プロフィール、のところをタップして、読んで、そしてピーンと来たのだ。  以前見た時には「中学生」だったところが、「高校生」に書き換わっていた。  戸田雪夫、と、雪田とおこ、はちょっとだけ似ている。気がした。ううん、似てる。似てるの!  物語の中で、主人公を騙して傷つけた魔女の名が「香歩」。そう、私の名前だ。  そして戸田くんは、いつも休み時間には小説を読んでいる。  実は、自分でも…書いて、いる。  ― 最後の「実は」のところは、私の決めつけだけど!  教室を出て、所々にグループでかたまってお喋りを楽しんでいる生徒たちを避けながら廊下を進む。  ドキドキとする胸を軽くブラウスの上から、抑えながら。  戸田くんは、私から逃げたりはしないけれど、側に寄っていくと、すぐに気がついて「近づくな!」と言って睨んでくる。  私は、それでもめげずにいつも一席あけて、椅子を借りて腰かけると、一生懸命、仲良くなれないものかと様々な話題を振った。  まあ、ぜーんぶ、無駄でしかなかったみたいだけど。  ー でも私は、諦めないからね!
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