詩「宝島」

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座り込む 炬燵に 浜辺に 基地に 過去に とおい国のように 前に進んでいるという感覚こそが 未来に繋がっていると信じているかの  ように 座り込む その地面の下に 真っ赤な核が燃えている 海が消えた 空が消えた なにもかもが 思い出の中に 住んでいた山の 樹齢何百年かの大木が 風に揺られる夢を見る 夢は過去だ 決して未来を見ることはできない 道端の犬 座り込んだ 冷たい地面の下に まだ燃えているのだろうか 昨日も 今日も 明日も 死後も ずっとずっと 燃え続けてくれるのだろうか 搾取 その二文字に怯えながら 木々は葉を落とし 方言は古紙の彼方に きみと眺めたあの景色は もうこの地上にはないとしても 宝島 今日も座り込む誰かを 誰かが青い目を向ける
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