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「そうなんだね、君も大変なんだ……」
「君、じゃないよ、私はサリア。そう呼んで、エリサ」
「えっ、王女なんでしょ? いいの?」
「あなただって、王子じゃない。
私、決めたわ、エリサと一緒に行く。
だから、最初に言った通りここから私を連れだして!
すぐに私を捜しに騎士団の連中がやってくる……。
その前に、私と一緒にここを出ましょう。
エリサの旅の助けだってして見せるわ。
あなたよりは、ずっと私の方が旅をするには向いてるんだからっ!」
そう言いながら私は旅のお供にしようとしている鞘に納められた剣を見せた。
エリサはそれでも躊躇っていたが、何度も説得すると、最後は頷いて握手をしてくれた。
「ありがとう、私の勝手かもしれないけど、エリサとは仲良くできそう」
一方的に好意を寄せるのは適切ではないかもしれないけど、ドキドキとした気持ちで言葉が先走っていた。
「こちらこそ、本当は心細かったから、凄く迷惑かけたり、頼ってしまうと思うけどよろしく」
ようやく、安心したのか笑顔をエリサは向けてくれた。
その姿も声も、全部が可憐な少女そのもので、とても男の子でもあるだなんて信じられなかった。
旅の始まりにワクワク感が込み上げてくる中、私たちはお酒を飲むわけでもなく、食事を済ませ、酒場を後にした、
やがて、私はここから長い旅を続けながら、エリサと共に世界の果てまで行くことを決意する。
それは、遥か昔の歴史が刻まれた場所がそこにあると教えられたからだった。
私は見守ろうと思う、エリサの選択を、ずっとこの先も。
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