告白

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ホワイトボードの前で、世界的にも高名な数学の教授が 敗北感にうちひしがれていた。 「どうしてだ。どうしてこんな簡単な問題が解けないんだ」 頭をかかえ、肩を落としてうなだれている彼を、 助手が気の毒そうな目で見つめている。 「教授。落ち着きましょう」 「これが落ち着いていられるか」教授は怒声を張り上げて 助手をにらみつけた。「これは中学生の問題なんだぞ」 「はい」あまりの剣幕に助手は縮み上がった。 「数学の世界的権威と言われたこのわたしが……」教授は まだぶつぶつと呟いていたが、頭を二、三度ふると 「とりあえず、この問題はいったん置いておこう」 と諦めたように深いため息をついた。
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