あの部屋

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俺の親は警官だった。 でも、証拠がないと逮捕できないと言われた。 俺たちはこれ以上の屈辱にも恐怖にも 耐えられなかったというのに・・ 先生は自分からあの部屋の存在を明かすから必ず捕まえて欲しい。 親に伝えると 俺たちは計画を実行した。 俺たちは先生だけが見ることができる隠し部屋を利用して 先生のお楽しみのカメラの前で事を起こした。 俺の親が警官だということは先生も知っている。 親が会いに行くと、先生は事件にまつわる手紙を見せた。 俺たちが作ったあの手紙だ。 俺たちが事を起こしたあの部屋を 自分の部屋だと気付かれる訳にはいかない先生は まず初めにあの手紙を見せたのだ。 先生は俺たちひとりひとりを呼んで 告白させた。 一言程度しか発しなかった俺たちに 剛を煮やした先生はもう一度手紙を差し出した。 この手紙を見て欲しい・・ 犯人は少年Cだと・・ 黙って話を聞いていた俺の親は言った。 「この手紙からは先生が犯人だという  告発にも見て取れますね。」 慌てた先生は 「ち、ちがう!  私じゃありません!!」 体を大きく乗り出した。 俺の親は冷静に続けた。 「先生はなぜ、少年Cが殺したと思ったのですか?」 「な、なぜって、、  あの手紙で言う嘘つきが少年Cなら  刺したのが少年Cで辻褄が合うでしょう。  嘘つきが殺してないと言えば  それは殺してるって事になりますからね。  それにあの生徒たちの中で一番気性が荒いのもCなので  他の生徒が怖がる人物としても合致するように思えます。  残念な事ですけどね。」 頷いた親を見てホッと一息ついた先生は 「もう、そろそろ、、。」 と、腰を浮かせた。 「先生、あの部屋とはなんですか?」 一瞬で、先生の顔色が変わった。 「し、知りませんよ。私はその場にはいませんでしたし。  生徒たちが隠れた場所で揉めているうちに  こんな事になったのでしょう。」 「先生、先生はなぜ少年Aが刺殺されたと?」 「ナイフがあって殺人と聞けば刺されたと思うでしょう。」 「致命傷とは限りません。」 「腹に刺さったナイフを抜かなければね。」 あとは、俺の親が全ての憤りを背負って 俺たちを苦しみから解放してくれる。 あの日、 今日で悪夢が終わるならと 少年Aは自ら腹を刺した。 少年Cの手で覆われたナイフで。 俺の進路相談に行った親に 誰も知らない俺たちの事件の全貌を話した先生は 俺たちを苦しめていた告白をしたに過ぎなかった。 少年Aのお腹の傷は 俺たちの忌まわしい過去が死んだ証となった。 解き放たれた俺たちの目に 美しい夕焼けが焼き付いていた。
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