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「……で、何の練習がしたいんだ?鰄は未経験とは思えないレベルに巧いし、俺ら教えれること無さそうだけど」
「あ〜ね。紬は本当に未経験か怪しい。隠れてミニバス通ってたとかは……ないか」
手持ち無沙汰なのかとうに友人たちはボール回しを始めていたが、俺はすぐには答えられなかった。コーチに指摘されたのはシュートヘジテーションの拙さだが、それ自体は日々の練習で修正しつつあり、どちらかというとパス精度の粗さが問題な気がしてならない。
「んと、ツーメン形式で……手渡しがスムーズに出来ないからそこと、あと、ビハインドのスナップがイマイチだから掛け方とか見せてもらいたい」
「おけ、んじゃ軽く走ったらすぐやるか」
※ ※ ※
人気の無くなったコートにキュッとスキール音が響く。時計をふと見ると短針が九を指しており、じきに閉館のアナウンスが流れることは容易に想像できた。
「そいやさ〜今日、夕飯要らねぇって母ちゃんに言っちまったんだけど……どっか飯食いに行かん?」
「……サイゼなら行ける。全く、男子中学生は辛いよ」
「同じく。まあ、多分高校生になっても変わんないと思うけどね」
男子中学生たるものマック、サイゼリヤ、背伸びしてジョナサン。この通過儀礼を通った先にある厨二病なる病を克服すると真の漢になれる……らしい。ソースは親父。
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