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「何怒ってるんだよ。お兄さんっていっても心は乙女なお兄さんだぞ」
「え? そういえばそんな感じの店近くにあったなぁ」
「じゃなくて、色々調べてきたんだ」
「そうそう!」
この辺ではゆっくり話のできる場所なんかない。それに人に聞かれるのもヤバいかも。
「うち来る?」
「え……?」
小林少年が固まった。
「大丈夫。掃除してあるから」
「そういう問題?」
「う〜んと、洗濯物はお風呂場に干してあるし。うん、大丈夫」
私はとっとと歩きアパートの階段を上り始めた。小林少年の調査結果を早く聞きたくて一段抜かしで駆け上がった。何故か小林少年は下を向きながら階段を上っていた。
「むさ苦しい所ですが、どうぞ」
「お、お邪魔します」
小林少年にクッションを押し付け、化粧を落とすためにお風呂場へ直行した。ユニットで手狭だが一人暮らしなら十分だ。
「お待たせ。さあ、教えて」
「その前にさぁ、着替えたら?」
そっぽを向いて小林少年は言った。ふと自分がまだ店用の服だった事に気がついた。
胸元が結構開いていた。スカートも短くて太もも丸見えだ。あ、階段上った時もしかしてスカートの中見えちゃった? いや、年頃の少年には刺激的だったかもしれない。ちょっと反省。私はすぐに部屋着を持ってトイレに入り、着替えた。
「お待たせ。で、何か分かった?」
「うん。あのさ、国会議員にたくさんの残留孤児がいるって言ってたよね」
「そうなの。びっくりしたよ」
「それだけじゃないんだ。他に南米へ移民して帰ってきた人もいるんだ」
「南米!?」
今度は地球の反対側ですか?
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