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只今絶賛失業中
優しい春風が髪をもてあそぶ。心地よさが夢の国へと誘う。この平和が永久に続きますように……。
「若葉! ポエムってないでハローワーク行きなさい!」
「お母さんはロマンがないなぁ」
「はいはい結構よ。お母さんは現実主義者ですからね。ほら、テレビ観てみなさい」
テレビでは神経質そうな女性アナウンサーが深刻そうな顔でニュースを読んでいた。
『食料の供給が昨年に比べ大幅に低下しています。度重なる自然災害、国際紛争などが原因となっております……』
「あんな顔してたらシワが増えちゃうのにね」
「なに呑気な事いってるの! 野菜も肉も調味料も、物凄く高くなってるのよ。電気料金なんか来月から30%も上がるっていうし」
「野菜が高いんなら果物食べればいいじゃない。肉がダメなら魚でもいいよ」
「あんたはマリー・アントワネット? 生憎うちは王室じゃないんだから。働かざる者食うべからず!」
「働きたくないわけじゃないよ。勝手に会社が倒産しちゃったんだもん」
私は高校を卒業し中小企業に就職をした。しかし世界的な不況の煽りを受け、4年間勤めた会社はあっけなく倒産してしまった。
「だったらとっとと仕事見つけてきなさい!」
「ほ〜い」
うるさくて昼寝も出来やしない。仕方なく私は出掛ける支度をした。
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