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夢中になって描いていると、虎くんの顔に陰りがさした。空を見上げれば、日の角度をいくらか落とした太陽に、いつの間にか現れた雲が顔を隠すようにかかっていた。
それに伴って体感温度も下がり、肌寒く感じたのか、虎くんが器用に寝返りをうって身を縮めた。
このまま寝ていては風邪をひいてしまうかもしれない。それは可哀想だし、起こせよとむしろ怒られそうな気がして、そっと肩を揺らした。
「風邪、引ますよ。起きてください」
なるべく静かに、不快感を与えないように注力しながら声を掛ければ、疎ましそうに眉を顰めながらも、薄っすらと目を開けた。
「何だよ」
やはり、自分のペースを乱されるのが嫌いなようで、苛立ったように声が低くなる。
帰る時に起こしてと言っていたが、それで起こしていても怒られていたのではないだろうか。とても理不尽だが、俺にはそれに反抗する力は無いので、謝る他ないだろう。
「ごめんなさい、起こして。風邪引くと思って。曇ってきたので」
「どうりで寒いと思った。帰るか」
あっさりと体を起こし、あくびを漏らしつつ体を伸ばす。それを尻目に俺も帰る準備をするために、足元に置いていたカバンから筆箱を取り出し、片付けていく。
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