虎と兎の出会い

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「雪うさぎはいつも一人で描いてんの?」 「大体は。人と関わるのが、あまり得意では無いので」 「何で? 今も普通に喋ってるじゃん」 「それは、芥見くんがよく喋るから……」  実際友達は少ないし、同じ部活の人でさえあまり会話をせず、一人で絵を描いていることが多い。  かと言って、この生活に不満を抱いている訳では無い。元々騒がしいのが苦手なこともあり、一人の方が静かな時間を確保しやすいので、好んで単独行動をしている。 「名前、虎でいいよ。芥見なんて言い難いだろ」 「でも、馴れ馴れしくないですか?」 「いいよ。皆そう呼ぶし。一人って暇じゃない?」 「騒がしいのが、あまり得意では無いので。それより、寝るんじゃなかったんですか?」 「気が向いたら寝るよ。喋ってたら描くのに邪魔か?」 「そういう訳じゃないですけど……」  虎くんとの会話は不思議と苦痛に感じなかった。この体勢だって、初対面の人にするにはあまりにも距離が近すぎるし、身動きが取れなくなる状態にしんどさを感じるはずなのに、太ももに感じる重みと温もりは毛布のような心地良さを感じていた。
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