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時間というものは残酷でやさしい。
あれだけ落ち込んだわたしを助けてくれたのは時間だった。時間の経過が悲しみを少しずつやわらげてくれた。友達にも感謝しなくてはならない。
おばあちゃんのことを忘れることはないけれど、その記憶は胸の奥の方にそっとしまいこんだ。
* * *
おじいちゃんがこっちにくると聞いたのは一月の末ぐらいだ。こちらで用事があり、そのついでに何日か泊まっていくらしい。
気持ちが沈んだ。お葬式にも行ってないし、年始の挨拶にも行ってない。できれば会いたくなかった。でもわたしの中のわたしが言う。
いつまで逃げてるつもり――。
そうだ、受け入れなければ前へは進めないんだ。
おじいちゃんに会うのは去年のお盆以来だった。
久しぶりにあったおじいちゃんはちょっと小さくなったように見えた。ただ、穏やかな笑顔は前に会ったときと変わっていない。
その日の夕食は田舎の話や親戚の話などいろいろな話が出たけど、結局わたしから話しかけることはできなかった。いざ話そうと思うとなかなか言い出せない。
翌日の土曜日、おじいちゃんは朝から出かけていた。こちらに来た目的である用事を果たしにいったようだ。お母さんに聞くと夕方ぐらいには帰ってくると言うのでわたしは駅まで迎えに行くことにした。
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