Scoville Scale Index

5/5
前へ
/24ページ
次へ
「ごめんなさいね……もう二度としませんから。こんな信心ぶかい子なのに……絶対にもうしませんから……そうね、わたしたちだって、マリア様の御加護でこうして〈アンティセプティック・チーム〉で無事に毎日を過ごせているのだし……たとえば靖国神社の鳥居に落書きとかそういう事件があると犯人の頭を撃ち抜きたくなるもの……そんな冒涜、赦されないわよね……」  治子は頭を下げた。 「頭を上げてください、わかってくだされば……」と言いながら、アリョーシャちゃんは声がふるえ、目が潤んでいる。 「わたしがばかでした……本当にアリョーシャちゃんごめんなさいね」  治子は目に涙をためている。 「来栖さんも泣くのをやめて席に戻りなさい、ちゃんと謝って、アリョーシャちゃんはもう赦してくださったのよ」  マーシー・ルーツの盤はすでにA面最後の溝をレコード針が追っているだけ。  碧砂が気をきかせ、レコードをひっくり返してB面をかけた。  しかしけっこう無軌道なところがある来栖治子の過去にも触れたいが、この先もどんな悪戯をするか正直わからない。  また、魔界ポータルの性格上、つねに補充していないといけないと述べたために説明が必要なオルゴン・エネルギーについても、それを小悪魔の後輩たちが世の男性から吸収する方法や、そもそも小悪魔の後輩たちの来栖治子を超える無軌道ぶり、すべて本稿では触れることはできず、いずれ別のテクストで(つまび)らかにしたい。  つねに有効な魔界ポータルはM市の某所のほかにも多数存在する。もしこれを読んでいるあなたに淫蕩(いんとう)の血が流れているなら、公衆トイレやなにげない路地裏などに魔界ポータルがあるのが視えるかもしれない──。        【了】    2023.02.01 M.M.
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加