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Trial And Error
やっぱり、観測手なしの狙撃は素人にはきっついわね、当たりゃしない……と来栖治子は呟いた。
治子は、仲良しの葉桐薫のように狙撃の自主訓練を続けている。治子はもともとが「突撃厨」だった。
本来は身軽に、サブマシンガンかショットガンで一気に敵の側面や背面に奇襲をかける。それが突撃厨。
葉桐薫と来栖治子とは相思相愛だった……はっきり書けば百合の関係である。これは語りだすと脱線しかねないので本稿では記述を控える。
だからこそ、いざ本当に戦地へ赴くときには相手の価値が下がってしまうような、やわな戦時行動はとれない。
そう、古代テーバイの神聖隊のように……大切なパートナーを喪わないために奮戦する最強のチーム、その発想は現在でもこの聖パルーシア学園に生きている。英国の特殊部隊S.A.S.(Special Air Survice)がバディ同士、ホームパーティに招いたり、とにかくプライベートでもかなりの親密さを必要、必須とするように。
治子は今、ただの突撃厨から、「凸スナ」へシフトしようと自主的にトレーニングをはじめていた。文字どおり、凸スナとは突撃しながらもスナイパー・ライフルを装備して、本来であれば遠距離の敵を狙うかわりに至近距離でもスナイパー・ライフルで敵を撃つ。
またはギリー・スーツなど高度なカモフラージュ戦闘服で周囲の背景に紛れ込み、油断した敵の頸動脈をナイフで切り裂く、必要であれば本来の狙撃手もこなしてみせる、それが凸スナだった。とにかく機動性に秀でていないと無理な戦術である。
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