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「まずは階段で塔の最上階へ向かって」
と、小佐野隊長。
はい、というにとろの声がハンディ無線機から聞こえる。
「サブマシンガンとフラッシュバンを取って装備して」
取りました、と椿にとろ。
「よくて? ここの最短記録は来栖治子のニ分十一秒──。始まってしばらくはわたしが指示を出すわ。でも途中から標的をいちいち言いません。標的は自動的に現れるので一体も残さず撃つのよ。また、途中で命令が挟まれるので、その命令にも柔軟に従って、いいわね」
「はい」
さすがの椿にとろも緊張を隠せないようだった。
「計測を開始するわ」
──まずはブリッジへ降りるワイヤーから降下して、いくわよ、と小佐野隊長。
開始! の声と同時に椿にとろはワイヤーから器用にブリッジの外へ降りる。
「ブリッジの敵を一掃、その後、艦内へ!」
敵の絵が描かれた木製の板がバタンバタンと音を言わせて立つ。
にとろはP-90で三体の敵を撃ち抜く。しかも正確に頭部を。そして階下へ。
階段を降りて待っている敵には、ナイフを使うよう小佐野隊長の指示があった。見事にそれをこなす。
左右の船室に敵がそれぞれ待ち構えており、にとろは勝手がわかっているかのように、撃ち漏らしもせず仮想の艦内を進んでゆく。
「弾倉をリロード!」
かなり他の銃器とは異なるP-90の弾倉を、小走りしながらにとろは新しい弾倉と交換した。
やるわね……と小佐野隊長がつい呟くと、皆がうなずいた。P-90は治子のお気に入りだし、癖の強いサブマシンガンだからだ。
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