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〈アンティセプティック・チーム〉の部室は山々のはじまる辺りの斜めの土地を活かしたログハウスふうの建物だった。一階には小佐野隊長と運転手も兼ねる六花鐘碧砂が乗る車輌とそのガレージがある。
米軍からもらったストライカー装輪式歩兵戦闘車輌と、薫がレストア品を買った、第二次世界大戦で使われたケッテンクラートという不思議な形状をした軽車輌が駐車している。
このケッテンクラート、前には普通のオートバイのように一輪の通常タイヤが、しかし後部には左右ともに短いながら履帯が巻かれている。薫はそんな風変わりな機構を持つこの車輌が好きで、よく「キモ可愛い」と形容している。
たしかにエンジンをかけ、履帯を回す転輪の動きは奇妙な味があった。
そして、これも本来はどうでもいい話ながら、治子は薫の運転するケッテンクラートで校舎や寮を移動することが多かった……実際には治子はほとんど〈アンティセプティック・チーム〉の部室に寝泊まりしているようなものだったが……。
ちなみにケッテンクラートはその複雑な機構でか、音がうるさい。それでもなお、愛すべき車輌なのだ。
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