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Coriolis Force
治子が使う狙撃用の銃はアキュラシー・インターナショナル製のAW50。それを椿銃砲店から購入した。また、今回、一時的に手渡されたスコープと狙撃サポート・システムは椿銃砲店が開発途中の製品だった。
少しばかり休憩して、射撃のサポート・システムを治子は再び起動する。
スコープに現在、銃身についたセンサーが向いている先のおおよその距離、風力とその方向、コリオリ補正、銃弾の有効範囲などなどが表示された。
スコープのなかには、聖パルーシア学園のシンボル、マリア様の像が捉えられている。
「それにしても、薫は凄いわ……静止している目標に対してですら、狙撃がこんなに難しいのに動く遠方の敵でさえ仕留めるなんて……」
マリア様の像までの距離が約1.1キロメートル。コリオリの力……地球の自転速度まで計算しないといけない距離だった。
長距離の射撃は、スコープのなかの縦と横の中心に標的を合わせるやり方では当たらない。
そもそも銃弾が1.1キロメートルも離れていると、狙撃用といえどもどうしても威力が低下してしまう。銃口から標的までゆるい山を描く射線になるのはしかたがなかった。
治子のスマートフォンに電話の着信が。
急いで取り出して発信元を確認すると小佐野美潮隊長からだった。
出たとたんに、こら! と叱られる。
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