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Good News And Bad News
「小佐野隊長、いいニュースと悪いニュースがあります。どちらからお聞きになりたいですか?」
〈アンティセプティック・チーム〉の部室に入ってきたばかりの、葉桐薫が隊長に話を切り出した。
薫は、聖パルーシア学園の制服、細身のネクタイを留めている結び目をほんのわずか引き締める。そしてπαρουσια……主の臨在……のロゴの入ったネクタイピンを留め直す。
聖パルーシア学園中等部三年生の小佐野美潮隊長をじっと見つめながら。
薫のくしゅくしゅした金髪が揺れる。
聖パルーシアの制服は白か淡い色のブラウスに細身のネクタイを合わせる。ネクタイはあまりに悪趣味なものでなければ自由に選べるのだが、小佐野美潮が率いる中等部の特殊部隊、〈アンティセプティック・チーム〉は皆、黒地にダークグレイの斜線が埋め尽くすデザインのものを特注で作ってもらい、着用している。
「うーん、むずかしいわね。だったら、いいニュースから聞こうかしら」
と、小佐野隊長が応える。たった一年ちがうだけで、小佐野隊長の胸の発達具合はすさまじい。カップがいくつかなんて訊くわけにもいかない。かといってグラビアアイドルのような豊満さ……聖パルーシアには少ないながらも男子生徒がいる……彼らも鳩尾がもやもやして仕方がないようだ。
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