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第二回 ヴォォォエエツッッッ!!! 気持ち悪っ!
兵舎の前にある鍛練場で、先輩達が剣を振るっている。
それを優雅に眺めながら、お茶を飲む人物がいた。ユーエンの上官だ。
「チィ・ユーエン! 今、三清殿にお客様が来ている。警護に行ってこい!」
新米のユーエンは雑用を終えてから鍛練に参加する。
鍛練は楽しかった。強くなりたいし、体を動かすと気分がスッキリする。それに、できれば将来、師匠みたいに武功を立てて、偉くなりたい。その為に少しでも鍛練したい。
「えー! なんでですか! 朝からずっと雑用ばかり! 俺も鍛錬に参加したいです!」
やっと雑用を終えて、今から参加できると思ったのに……!
「うるせぇ! 声がでけーんだよ! つべこべ言わず、さっさと行け!」
上官は耳から手を離し、ユーエンをしっしと払った。
(……仕方ない)
権力に逆らっても、どうにもならない。世の中、そんなものだ。
「三清殿ってどこですか?」
「あ? 北にある、神を祀っているでっかい建物だよ。さっさと行ってこい!」
質問しただけなのに、上官が怒る。暇そうにしているなら自分が行けばいいのに。
「分かりました!」
ユーエンは大声で返事した。
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