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「へえ!そんな面白…失礼、そんな状況になってたんだ」
真冬が颯人とのことを打ち明けると、夕華がビールを片手に楽しそうな声をあげた。
「そうなの」
対して真冬は面白がっているとは知りつつ、今の自分の状況を想い自然声が暗くなる。
二人がいる場所は真冬たちが勤める学校の近くにある焼き鳥屋。
仕事終わりに二人がよく行くお店でもある。
学校から近いとはいえ、大通りから離れた場所にひっそりと佇むお店であるため、今まで学校関係者と会ったことはない。
だからこそ、普段の自分をよく知る夕華の前ということもあり、真冬も気が抜け素の自分が出てしまう。
「それにしても犬飼颯人ねぇ…。真冬のタイプど真ん中だよね」
ぐいっとビールを煽りながら夕華お気に入りのハツの焼き鳥をタレにからめつつ口に入れる。
その目はずっと楽しそうに細められている。
「う…」
図星を突かれ酒の強くない真冬は目の前のジンジャーエールを握りしめる。
真冬の両親は公務員であり、また親戚も国家地方問わず公務員が多い。
そんな中で育った真冬は厳しく躾けられてきた。
出来のいい兄は常に成績トップクラス。
それに比べて真冬は器用ではなく何をするのも平均並み。
その所為で学生時代は常に努力を強いられてきた。
そんな中真冬が憧れを抱いたのが自由に見えたクラスでは不良とされるグループだった。
言いたいことも言えない真冬からしたら自由な言動をする彼らが眩しかった。
そのことは大学が一緒の夕華には知られている。
そして今まで真冬が恋愛をしてこなかったことも。
だからこそ、夕華からしたら真冬の今の状況に嬉しさも感じでいる。
大半面白がっていることは否めないが。
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