334人が本棚に入れています
本棚に追加
3月いっぱいまでは颯人は生徒だと言ってから、真冬は颯人とは会ってはいない。
ただ、毎日連絡はきている。
顔に似合わずマメな男なのだ。
朝はおはようから始まり、好きだ、可愛い、会いたいのオンパレード。
恥ずかしくて真冬は毎日悶えながらスマホを眺めている。
外では絶対見られない。
生徒の時では絶対考えられないほど率直な言葉が連なっている。
真冬もそんな颯人のことを毎日のように考えてしまう。
好きだという文字を見れば嬉しくなるし、ドキドキと胸が高鳴る。
自分から言ったにも関わらず会いたいとも思ってしまう。
恥ずかしくて素直に伝えられないでいるが。
返信も業務連絡のような可愛げのないものばかりしか打てていない。
会いたい、好きだ、と打ったまではいいが送信ボタンを押す勇気がでずそのまま消してしまう。
ありがとう、と打つのが精いっぱいなのだ。
夕華が言った言葉が真冬の頭を回る。
『もう答えは出てるんじゃない』
その通りだと思った。
初めて告白されたときから感じていた思い。
素直に嬉しかった。
真剣な想いをぶつけられて。
夢に向かって真面目に取り組む姿も。
自分に向ける笑顔も。
そのどれもが真冬には眩しく映っていた。
最初のコメントを投稿しよう!