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「さすがに幻滅したよね…」
告白の現場で本人を取り残したままにしたのだ。
家に帰ってからも何も手につかずあれほど熱中したアニメもほとんど頭に入ってこないまま寝落ちしてしまったのだ。
真冬は子供のころからアニメが大好きだった。
だが、真冬の家庭環境はそれを許さず、しばらくアニメから遠ざかった生活をしていた。
そんな真冬は親の言う通り堅実な就職をし、現国の高校教師という道に進んだ。
あえて地元から遠い地で採用試験を受け家を出ることにした。
両親の期待と教育方針により真冬は、品行方正・清廉潔白な人間となるべく努力し続けた。
その結果、真冬は周りからもそう見られる大人になった。
社会に出て常に気を張っていた真冬が再びアニメの世界に入るのにそう時間はかからなかった。
外では両親の期待する姿を維持するため気を張り、一歩自分の部屋に入ればそのスイッチは切れ趣味の世界にとっぷりと浸かるという生活をこの4年続けてきていた。
それが小堀真冬の秘密。
それを知るのは同僚の一人とあと一人。
告白をしてきた颯人である。
颯人にはあることをきっかけにその秘密が知られたわけだが。
どういうわけかその日を境に颯人から懐かれることになったのだ。
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