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恋のトンデモチョコ大作戦
今日は2月14日。
学校中が恋の予感に浮き立ついちにち。
放課後の教室は、バレンタインデーから弾かれた、ぼっちたちの聖域。
どうせあたしの好きな相手は、きっと今ごろ他の子に告白されてる。
ひとりで感傷にひたろうと思ってた、あたし、高木千晴は、意外な人の姿を見つけて、彼に駆け寄る。
「拓也、なんでこんなとこに?」
幼なじみの小山内拓也の顔を、あたしは覗きこむ。
「呼び出す相手、間違ったんだってさ」
「……は?」
「ほんとは俺のひとつ後ろの机に、手紙入れたつもりだったらしい」
「……で、どしたの?その手紙」
「どうしたもこうしたも、返したよ。今ごろ告白してんじゃね」
なるほどね。
軽い足取りで校舎裏に行ったはずなのに、教室にいたのはそういうワケか。
「あーあ、“もしかしてこれ告られるパターンじゃね?”って、めっちゃワクワクしたのにな」
「そっか、残念だったね。……拓也、永井さんのこと、好きなのに」
カマをかけてみたら、拓也は顔を真っ赤にして慌てた。
「……なっ、なななななななんで……っ」
同じクラスの永井さん。美人で賢くて優しい学級委員長。
「そりゃ、幼なじみだもん。拓也ってすぐ顔にでるし」
拓也が誰を好きかくらい、わかるよ。
あたしはいつも、拓也のこと見てるから。
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