恋のトンデモチョコ大作戦

2/3
前へ
/7ページ
次へ
「そんな失恋ほやほやの拓也くんに、ハイ、どーぞ」 あたしはニカッと笑って、家に押し掛けて渡そうと思ってた、手作りチョコを拓也にさしだす。 「……うげっ」 彼は心底イヤそうな表情をしながら、ラッピングに包まれたそれを受け取る。 「貴重な義理チョコに、“うげっ”とはなによ」 「だってまた、あれだろ?千晴のトンデモチョコ」 「トンデモなんて、失礼ね」 だってそれが作戦だもん。 ただでさえ、あたしは“気安くしゃべれる幼なじみ”枠で、全然女の子として見てもらえないし。 みんなと同じじゃ、拓也の印象に残らない。 「いやいやいや!さばの味噌煮だのキムチだの明太子だの、トンデモ以外の何物でもねーだろ」 「全部拓也の好きな食べ物じゃん」 拓也のお母さんに、ちゃんとリサーチしてるんだからね。 「アツアツごはんと一緒に食いたいんであって、チョコに包んで欲しいワケじゃねえよ!」 「そんなにイヤなら食べなきゃいいのに」 「いや、食品ロスるのは地球に優しくないだろ……って、恨むぞ俺のもったいない精神!ガッデム!!」 頭を抱えた拓也に、あたしは明るく提案する。 「じゃあ、今年は何が入ってるか当ててみて」 「……どうか無事であれ、俺の胃袋」 「ほんと失礼よね」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加