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ラッピングをほどいて、拓也は丸い形のチョコを口に放り込む。
「ん……食感はポリポリ系?醤油の香り?だけどそこそこ旨いチョコでも隠しきれない、クセのあるあとあじと、ぬめり……?」
「ファイナルアンサー?」
「わかった!……納豆!!」
「ピンポンピンポーン!正解は、フリーズドライ納豆でした!ライスパフっぽいでしょ?」
「全然ぽくねーよ」
拓也のぼやきは止まらない。
「あー、どうせなら永井さんのチョコが欲しかった。絶対千晴よりまともだし」
「あたしのはまともじゃないってか?」
「でもって、告白されてさ、遊園地で初デートなんてしちゃってさ」
「妄想力たくましいね?」
鈍感なこの幼なじみは、いっつもこう。
あたし以外の女の子好きになって、あたしの“好き”には気づかない。
だけど、あたしも悪いんだ。
“気安くしゃべれる幼なじみ”枠、ぶち壊す勇気がないんだもん。
もういい加減、この生ぬるい幼なじみ温泉から、抜けだすきっかけ作らなくちゃ。
「じゃあさ、あたしと行かない?遊園地」
「は?」
「妄想デートってことで、どう?」
「ちなみに、俺に拒否権はあるわけ?」
諦め半分な口調で訊ねる拓也に、あたしはにっこり笑って即答した。
「え?……ないよ!」
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