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その3、「伝わらないなら伝えてしまえ、好きだって」作戦。
今まで、それとなく好きだって伝えようとしてきたけど、この鈍感男に察しろというのは難しいんだってことも、さんざん思い知らされてきた。
なら、もう玉砕覚悟で、直接告白するしかないじゃない。
「ねえ拓也。……次、観覧車乗ろうよ」
「わかった」
“気安くしゃべれる幼なじみ”枠でいられなくなるのは怖いけど、こーゆーのは勢いも大事だよね。
意を決したあたしは、拓也と一緒に観覧車のゴンドラに乗りこんだ。
一周約15分。それがあたしに与えられた制限時間。
あたしは息を大きく吸って吐いてから切り出す。
「あのさ、拓也」
外の景色を眺めてた拓也が、こっちを向いてくれる。
「なに?」
「今までずっと、バレンタインデーに、義理チョコ渡してたじゃん」
「ああ、千晴のトンデモチョコな」
“トンデモ”って定冠詞はスルーして、話を続ける。
「あれね、義理じゃなかったの」
「……は?」
あたしは勇気を出して、拓也の目をまっすぐ見つめた。
「あたし、拓也のことが好きなの!」
しばし沈黙。
大きなため息をひとつついてから、拓也はボソッと呟いた。
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