博物館の漬物

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彼は続けて、もう一つの漬物を取りました。 「次はこの豆を漬けてみよう」 彼はそう言うと、豆が入った豆の袋を開けました。そして、その豆を一掴みすると、壺の中に入れていきました。 すると中から魔人が出てきました。男はびっくりして、持っていた豆を地面に落としてしまいました。 「この豆は、なんという恐ろしい生き物なんだ」 彼はそう言うと、慌てて逃げ出そうとしました。 しかし、その前に一人の男が立ちはだかりました。 それは、ぬか漬け博士でした。「この日を待っていたぞ!漬物魔王。とうとう罠にかかったな。今度こそお前の野望をくじいてやるぞ」 「き、貴様は?!」 正体を暴かれた男は身構えました。 「ええい、この方を何と心得る。俺は魔王様の第一のしもべ。漬物悪魔だ!」 助手が大根を振りかざします。ぬか漬け博士は軽いフットワークでそれをかわし「乾燥剤を喰らえ」と白い粉を投げつけました。 「うわぁ。カチカチになるぅ」 漬け物悪魔はたちまち白い彫像になりました。 「はーっはっははー。科学の勝利だ!」 そうです。ぬか漬け博士は世界各国の博物館を魔人の手から守るために日夜貢献しているのです。この世界には人類の環境汚染を厳しく罰するためにいろいろな魔人が遣わされています。魔人たちは「環境破壊をやめないなら人間が大切にしている博物館を破壊してやる。環境と博物品とどっちが大切だ?」と言って脅しているのです。 「さぁて、残るは漬物魔王、今日が年貢の納めの時だ」 ぬか漬け博士が言いました。 「貴様が世界中の博物館を漬物にしようとしていることはわかっているんだ。大人しく観念しろ」 「何を言っているんだ。俺は漬物が好きなだけだ。漬物は世界の至るところに存在する。そして、それは同時に俺の存在する場所でもあるんだ」 漬物魔王は開き直っています。「ふざけるんじゃない。この地球は人類だけのものじゃない。お前に地球の未来を決める権利なんてないんだよ」 「地球の未来だと? そんなものは関係ない。俺はただ自分の欲望に忠実に生きているだけなのだ」 「そんな勝手が許されると思っているのか?」 「うるさい奴だ。おまえだって、どうせ漬物のことしか考えていないくせに」 「そんなことはない。私はただ、博物館を守っているだけだ」 「嘘をつけ。本当は自分が漬物のことを知りたくて仕方がないだけだろう」 「違う。断じてそのようなことではない」 その時、彫像が砕けました。「ふぅー死ぬかと思った」 何と漬物小悪が息を吹き返したのです。そして私にこう言いました。 「この博物館は湿度の調整がなってませんね」 ぐぬぬ。漬物魔人の来訪なんか想定してないぞ。 「ぬかった」 私が頭を抱えている間も博士と魔王がやりあっている。 二人の会話を聞いて、助手が笑いました。「どう考えても、あなたの方が漬物に興味があるようにしか見えませんけどね」 助手の言葉を聞いた二人は黙り込んでしまいました。しばらくしてから、ぬか漬け博士が口を開きました。「わかった。君の気持ちはよく分かったから、とりあえず話を聞こうじゃないか。どうして君はこんなことをし始めたんだい?」 「もちろん漬物が好きだからだ。漬物は素晴らしい食べ物だ。毎日でも食べたいくらいだ。しかし、今の世の中ではそれができないんだ」 彼は悲しそうな表情で続けました。「だからこそ、俺は漬物を自分で作ることにしたんだ。しかし、それでも満足できなかったんだ。だから俺はもっとたくさんの漬物を世界中に広めたかった」
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