16人が本棚に入れています
本棚に追加
「えっと、どうする? 私が女子部長さんの分を回収して関くんが男子部長さんの分を回収する、でいいかな。量も半々くらいだし」
「あー……、はい。水曜日の昼休みになったらすぐ、俺が回収した分を冨田さんに渡すんで提出頼んでいいですか」
「了解です。じゃあ、そんな感じで」
「あ、ねぇ」
簡易的な話し合いを終え、扉へと向かおうとすると不意に呼び止められた。
「何組? 聞きそびれてたから」
「に、2組」
「2組ね。ありがとう」
少しだけ口角が上がったように見えたけれど、目元までは前髪に隠れて見えなかった。たった三文字答えるだけのことに噛んでしまったのは、急に質問を投げかけられたからだ。話した内容だって、極めて事務的な確認事項でしかないのに。
帰宅後に挨拶文を考えようと思ってルーズリーフを広げたまま、昼休みの関くんとの会話を反芻してしまった。早穂の話だとイケメンで寡黙らしいけれど、会話した限りでは寡黙さを感じなかった。でも便宜上かもしれないし、うん。きっとそうだよね。勝手に納得すると、シャーペンをカチカチとノックした。
最初のコメントを投稿しよう!