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放課後のお手伝い
うず高く積まれた用紙の山をホチキス留めするのは単純作業とはいえ、終わりがなかなか見えなくて地味に辛い。手を休めているわけではないから量自体は減っているのだけれど。
トントン、パチン、パチン、パサ――皆が黙々と手を動かす中で、規則的な音だけが茜色の空間に響いている。
「少し休憩しましょう」
淡々とした山乃さんの声を合図に、長机にホチキスが次々に置かれた。
「飲みものいる人ー。『はい』って言って手挙げて下さい」
冴島くんのゆるりとした呼びかけに倣ってか、「はい」「はーい」と役員の面々もみんな手を挙げる。私も「はい」と手を挙げると、関くんも控えめながら挙手をした。
「七人分ですね」
「あ、私行ってきます」
カタンと椅子を鳴らして立ち上がると、山乃さんが眉を寄せる。
「重いですよ? 誰か一緒に……」
「ううん、大丈夫。皆さん、飲みたいやつ教えて下さい」
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