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めいめいのリクエストを頭に入れて廊下に出ると、すぐに足音が追いかけて来た。
「冨田さん、待って」
「関くん」
「軍資金渡されたから」
「あ、そっか」
わざわざありがとう、と手を伸ばしかけると、学ランのポケットにそのままお金を入れてしまった。
「一緒に行く。持つの大変だろうし」
「あ、うん……」
中庭の吹き抜けになっている窓から夕焼けが差し込み、並んで歩く私たちに長い影を作る。普通に立っていても背が高いなとは思うけれど、影で見ると差がより顕著だ。
加えて、歩幅は違うのに歩調が同じなのは、合わせてくれているからだと気がついた。持つの大変だろうって言ってくれたし、やさしい人……なのかな。音楽室から響く合奏の音色を聞きながら、一階への階段を降りた。
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