放課後のお手伝い

2/6
前へ
/30ページ
次へ
 めいめいのリクエストを頭に入れて廊下に出ると、すぐに足音が追いかけて来た。 「冨田さん、待って」 「関くん」 「軍資金渡されたから」 「あ、そっか」  わざわざありがとう、と手を伸ばしかけると、学ランのポケットにそのままお金を入れてしまった。 「一緒に行く。持つの大変だろうし」 「あ、うん……」  中庭の吹き抜けになっている窓から夕焼けが差し込み、並んで歩く私たちに長い影を作る。普通に立っていても背が高いなとは思うけれど、影で見ると差がより顕著だ。      加えて、歩幅は違うのに歩調が同じなのは、合わせてくれているからだと気がついた。持つの大変だろうって言ってくれたし、やさしい人……なのかな。音楽室から響く合奏の音色を聞きながら、一階への階段を降りた。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加