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束の間のジュース休憩を挟んで作業が再開された。明日の午後にも作業日程があるとはいえ、生徒会の皆は他の仕事も抱えている。そのことを加味すると、下校時刻ギリギリまでやった方が効率が良いのだろう。
黙々とホチキス留めをしていると、ふいに指先への抵抗がなくなった。もう一度押し込もうとしたものの、かすかすと乾いた音がする。きょろきょろと左右を見て正面に視線を戻した途端、目の前に針のストックが置かれた。
「はい」
「ありがとう、ございます」
「どう致しまして。なんで敬語?」
「……特に意味はないけど」
「そう」
深掘りすることなく一言だけ返すと、関くんはまたパチン、パチンと手を動かし始める。針を補充すると、下校時刻になるまで一心に手を動かし続けた。
「今日の作業は終わりにします。帰り道、気をつけて下さい」
山乃さんの合図で各々が手元の道具を片付け始めた。必然的に生徒会室を出るタイミングが重なり、廊下を並んで歩く。蛍光灯が点いているとは言っても薄暗く、昼間のような賑やかさはなくてしんとしている。角を曲がり、しばらくして関くんが口を開いた。
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