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「新入生の皆さん、夜名原高校への入学、おめでとうございます。入学式から一週間ほど経ちましたが、学校には慣れましたか？ 新しい制服に新しい仲間、初めての環境にはワクワク感と共に戸惑いもあるかと思います。
そんな皆さんにリラックスしていただこうと生徒会役員の面々が企画してくれたのが、この新入生歓迎会です。省略すると新歓会となりますが、言いにくいからという理由で新歓式での呼び方が伝統的に受け継がれています。
さて、高校生活を送るにあたっては学業がつきものですが、部活も頑張りたいなって思ってる方、どれくらいいらっしゃいますか？」
いったん言葉を切ると、一年生が座っている辺りにやんわりと視線を移す。ちらちらと周りを気にする素振りを見せたあと、ばらばらと手が挙げられた。
「はい、手を挙げて下さった方、ありがとうございます。下げてください。
中にはどうしようか悩んでる方もいらっしゃると思いますが、部活動でしか得られない経験もたくさんあります。そしてそれは、これからの三年間に間違いなく彩りを添えてくれます。いつか大人になって思い返した時に、色褪せることない思い出の一ページとなってくれると思います。
このあと各部長さんが丁寧に分かりやすく活動の紹介をしてくれますので、手元の冊子を参考にしながらぜひ検討してみてください。それから、見学期間は一週間となります。その間にじっくり選んでいただければと思います。
部活動紹介のあとは皆さんの入学を歓迎して吹奏楽部の演奏とダンス部の演技があります。目一杯練習した完成度の高いパフォーマンスを、手拍子と共にどうぞお楽しみ下さい！
――３年２組 冨田朱袮」
挨拶を終えて再びお辞儀をすると、身体の底にまで届くような拍手が鳴り響いた。頬に自然に空気が入り、手足がぽかぽかと温かくなる。今になって激しさを増す鼓動を聞きながら、ゆっくりと壇上を下りた。
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