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「めぐりあひて」
「雲隠れにし夜半の月かな」
「逢ひ見ての」
「昔は物を思はざりけり」
「ちょっと早穂、すごくない?」
「そりゃあ覚えたもん。じゃあねぇ、恋すてふ わが名はまだき……」
「人知れずこそ思ひそめしか」
「朱袮だって」
目を丸くする早穂にピースサインで応えた。
テスト前に問題を出し合うのは、いわば恒例行事のようなものである。今回はありがたいことにサービス問題があるのだ。
春休みに入る前に配られたプリントに〔百人一首の四十一番から六十番の二十首の中から出題します。暗記すると良いことがあるよ〜〕とご丁寧に、しかも八分音符付きで記載があった。十首の上の句を見て下の句を解答するというものである。確実に点数が取れるところは押さえておいて損はない。
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