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「来週の金曜日にある最初の行事は?」
「はいはいっ、新歓式!」
テンポよく、教室の奥から男子生徒の声が飛んだ。
「そう。新歓式ね。実は、生徒会役員の子達は春休みから準備で忙しく動いてくれています。それで三年生から手伝いをしてほしいって声があって、代表挨拶をしてくれる人を募集することになりました。他のクラスでも先生方が同じ話をしているので、何らかの方法で決めることにはなるんだけど……。やりたい人、いるかしら?」
一瞬の静寂のあと、先ほどとは別のざわめきがあちこちで起こる。
「めんどくさくない?」
「ていうかさ、生徒会の人がやってほしい」
ざわつく中でも、ひそひそと本音がだだ漏れている。軽く椅子を下げて距離を詰めると、早穂がそっと耳打ちをしてきた。
「私はちょっと……。とてもじゃないけど緊張するもん。だって、全校生徒を前にステージの上で挨拶でしょ」
「そうなんだよねぇ。でもさ」
「ん?」
「私、やってみようかなって思って」
顎元に手を当てながら、浮かんだ考えをぽつりと唇に乗せた。
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