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「おかえり〜。どうだった?」
「私がすることになりました」
ビシッと手を挙げて報告をすると、早穂の指先が軽く合わせられる。
「えっ、おめでとう、でいいの?」
「いいんだけど、ねぇ、どうしよう」
「何、情けない声出しちゃって。らしくない」
「追加の仕事も頼まれちゃった。ほら、部活紹介が載ってる小冊子、あるでしょ?」
両手の人差し指を動かし四角を示す。うんうんとすぐに反応が返ってきた。
「それに載せる原稿を各部の部長さんから回収して欲しいって。私てっきり、挨拶だけだと思ってたのに」
「結構な量じゃない? それって」
「そう。しかもスケジュール的にタイトだから補佐役を付けますってことで、回収は1組の子と一緒にすることになったんだけど」
「ふーん、じゃあちょっとは楽なんじゃないの? 女の子?」
「ううん、男子。えっと、関くんって言ったかな」
「関くん? って、関 凌真?」
少し声のトーンが高くなったかと思うと、早穂の瞳が黒曜石のように輝いたように見えた。
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