きっかけは後頭部。

1/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
どうして、どうしてなの? 今日もだよ。 高校生活が始まって間もないけど、私、高野美歩の前の席、三原くんの後頭部の髪はいつも撥ねている。 ...わざとなの? ううん。な訳がないか。 新しいヘアデザイン、いや...、もしかしたら三原くん特有のヘアアレンジかもしれないよね...。 後頭部の一部を必ず撥ねさせる、ていう。 授業中、前を向くと、座高は三原くんの方が高いとはいえ、そのヘアアレンジがどうしても目に留まる。 最初は寝癖なのかと思ったけど、こう毎日、てことは...アレンジかもしれないし、それに男子に話しかける勇気がない。 三原くんはいつも笑顔が耐えない明るい雰囲気、それに比べて私は....。 言いたいことも言えないんだもん。 女友達にも何処か遠慮してる部分ある。 はあぁ、と重い溜め息が出た。 「どした?高野」 いきなりヘアアレンジが振り返り、拍子を抜いた。 「や、な、なんでもない」 あはは、と小さく笑い、俯くのみ。 (三原くんのその後頭部!後頭部の髪、どうなってんの!?) ホントはそう叫びたいよーーー!!! それから月日が経った。 高校生活、約1ヶ月が経過しようとしている。 「なあ、高野」 いきなり、三原くんが振り返った。 久しぶりにじっくりと三原くんの顔を見た。 それくらい、いつまでも三原くんは私を見ている。 「....なに?」 「なんか気づかない?」 暫く考えた。 「そういえば、今日、曇のち雨だった...傘、忘れた....」 「や、そうじゃなくて...」 三原くんが微かに笑った。 「そんときは俺、傘あるからさ、相合傘して帰ればいいじゃん」 「あ、あ、い、あい、あい!?」 いきなり何言い出すの、この人...。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!