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どうして、どうしてなの?
今日もだよ。
高校生活が始まって間もないけど、私、高野美歩の前の席、三原くんの後頭部の髪はいつも撥ねている。
...わざとなの?
ううん。な訳がないか。
新しいヘアデザイン、いや...、もしかしたら三原くん特有のヘアアレンジかもしれないよね...。
後頭部の一部を必ず撥ねさせる、ていう。
授業中、前を向くと、座高は三原くんの方が高いとはいえ、そのヘアアレンジがどうしても目に留まる。
最初は寝癖なのかと思ったけど、こう毎日、てことは...アレンジかもしれないし、それに男子に話しかける勇気がない。
三原くんはいつも笑顔が耐えない明るい雰囲気、それに比べて私は....。
言いたいことも言えないんだもん。
女友達にも何処か遠慮してる部分ある。
はあぁ、と重い溜め息が出た。
「どした?高野」
いきなりヘアアレンジが振り返り、拍子を抜いた。
「や、な、なんでもない」
あはは、と小さく笑い、俯くのみ。
(三原くんのその後頭部!後頭部の髪、どうなってんの!?)
ホントはそう叫びたいよーーー!!!
それから月日が経った。
高校生活、約1ヶ月が経過しようとしている。
「なあ、高野」
いきなり、三原くんが振り返った。
久しぶりにじっくりと三原くんの顔を見た。
それくらい、いつまでも三原くんは私を見ている。
「....なに?」
「なんか気づかない?」
暫く考えた。
「そういえば、今日、曇のち雨だった...傘、忘れた....」
「や、そうじゃなくて...」
三原くんが微かに笑った。
「そんときは俺、傘あるからさ、相合傘して帰ればいいじゃん」
「あ、あ、い、あい、あい!?」
いきなり何言い出すの、この人...。
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