第1章 副社長と契約恋愛(1)

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 刺されれば刺されるほど、症状が深刻なものになるのだが、突然変異した蚊――通称メネッカが与える被害は少ない。数が少ないので、当然、刺されたことがない女性もいる。それに刺されたとしても、いつまでも処女のままでいる女性は少なかったのかもしれない。  それにこの影響は悪いことばかりではない。治療を理由に告白する勇気が持てたという人の話も聞く。その話を題材にした恋愛小説が話題になったおかげで、メネッカの存在を脅威に思う人もほとんどいなくなっていた。  そんな世の中で、二十七歳、処女、メネッカに三回刺された女性というのは天然記念物と言ってもいい。どうしてこんなになるまで放っておいたレベルである。  しかし唯は狙って『どこまで処女で生きていられるかチャレンジ』をしているわけではなかった。  恋人は作れたのだ。問題はその先である。 「とにかく、四度目があればどうなるか分かりません。今日にでも、その恋人に事情を話してください」 「……はい」
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