第3章 この人が欲しい(6)

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第3章 この人が欲しい(6)

 恋人でいられる期間は残り二日。唯が処女を失うまでという話だったのだから、旅行の帰りは元の関係に戻っているだろう。  そうなると、千歳と共に夜を過ごすのも後二回となる。  ――唯が順調に処女を喪失できれば、の話なのだが。 (でも、旅行までする必要はないのに……)  やることが大袈裟だ。  しかし、ここまでされると直前になって「やっぱり無理」などと言えなくなるだろう。そういう意味では唯の性格をよく知っていると関心できるが、本当にそれだけが理由なのだろうか。  どれほど考えたところで、唯には千歳の心情など予想もできない。だが、悪いようにはしないはずなので、何としてでも知っておかなければならないことでもなかった。  今するべきは、明日の準備だろう。  いくら別荘とはいえ、女性が必要なものを揃えているとは限らない。薬以外は準備しなくてもいいと言っていたが、用意された服や下着がどんなものかは分からなかった。 (……下着は絶対に多めに持って行かないと)
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