第3章 この人が欲しい(6)

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 千歳の長時間続く愛撫によって、着ていた下着はいつもぐちゃぐちゃになるので、朝は別の下着に着替えている。一日に二枚も下着を洗う日々。下着だけは毎日手洗いしている唯は、パンツを洗うたびに何とも言えない感情に苛まれていた。  ほどなくして明日の用意は終わり、唯はリビングに入る。  千歳はソファーでのんびりと読書をしていた。彼は用意するものなどないのだろう。 「準備、終わったんですか?」 「千歳さんは何も準備する必要なさそうですね……」 「連絡はしておきましたよ。必要なものは揃えてもらえるので」 「軽井沢の別荘に行って、いつもは何をしているんですか。私、泊まりに必要なものは揃えたんですけど、軽井沢って行ったことがなくて」 「うーん……のんびりしていることが多いですね。仕事が忙しい分、別荘では一日中、本を読んでいることもあるし、絵を描くこともあります。後は時期が良ければ登山か、もしくは周囲を散歩していますよ」  なるほど、これがのんびり。
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