第4章 終わりの日(2)

3/7
前へ
/280ページ
次へ
 それでも何かが引っかかり、内心で首を傾げる。小さな違和感は、グラスに口をつけると同時に消えていた。 「美味しいです」  甘く爽やかで飲みやすい。喉の渇きを潤すにはちょうどよく、ジュースらしい甘みを含みつつも後味はすっきりとしていた。 「こういう味、好きかなって思って。好みに合って良かったです」  嬉しそうに話す千歳に、唯はまあいいかと思うことにした。本当はお酒でも飲んでしまいたかったが、作ってくれたものを飲んだらお酒なんてあまり入らない。無理にでも飲もうとすれば、千歳に対して拒絶感を持っているように見えるだろう。唯はそう思われたくはなかった。 「冷蔵庫の中って他にもジュースとかあるんですか」 「ありますよ」 「じゃあ、私も何か作ってみてもいいですか」 「はい」
/280ページ

最初のコメントを投稿しよう!

249人が本棚に入れています
本棚に追加